今日はヨム・ハショアー(ホロコースト記念日)。ホロコーストとは焼き尽くすとの意味だそうですが、イスラエルでは今日一日、自分たちの同胞に起きた大惨事に思いをはせ、静かに一日を過ごします。
イスラエルのラジオ(ガレー・ツァハル)を聞いていると、様々な番組が特集されています。主に、生き証人による証言。生々しい体験談は、聞くに堪えないものばかりです。でも、それが現実だったのです。目の前で愛する家族が一人残らずい惨殺されても、生き延びた人々がいます。
「本当に勇気のある人間は、ここぞというときに死ねる人間でなく、生きるという選択のできる人間だ」との正岡子規の言葉を思い出します。60数年の月日を経て、生き残った人々も高齢に達しました。生きた証人として証言できるのはあと何年でしょうか。
十数年前にロードショーとなった映画「シンドラーのリスト」を、私はイスラエルで観ました。同じ映画館で隣に座って観ていた人々は、ホロコーストの生き残りの人々。あの映画の中でも、目を背けたくなるシーンが多々あります。それ故に、スピルバーグ監督も映画全体を白黒にしたとか。
しかし、生き証人曰く、「あんなに生やさしいものではなかった」と。私は言葉を失いました。想像を絶するとはこのことだと思いました。体験した者でしか語れない壮絶さ。だからこそ、思い出すのも辛い内容を、次の世代に伝える使命という一点において、彼らは重い口を開き、今日一日は公共の電波にのせて語り続けます。
ときあたかも、昨日から「人種差別撤廃会議」なるものがスイスにて開かれているそうですが、ホロコースト否定論者のイラン大統領参加によって、物議を醸し出しています。
今日くらいは、日本人の私も静かにこの「人類最大の罪」について、証言に謙虚に耳を傾け、心に留めたいと思っています。
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